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認知症

何度も同じことを言う、日付や場所がわからない...など

●認知症とは

認知症とは、正常に働いていた脳の機能が低下し、記憶や思考へのマイナスの影響が見られる疾患です。物事を記憶したり判断したりする能力や、時間や場所・人などを認識する能力が低下するため、実生活に支障が生じてきます。
今まで普通にやれていたことが急にできなくなった、通い慣れていたはずの道なのにわからなくなった、同じことを何度も聞き返すようになった――こうした“もの忘れ”には、単なる加齢による場合(良性健忘)と認知症の初期段階の場合とがありますので、一度、ご相談ください。

認知症

こんな症状の場合はご相談ください
  • ・物の名前が思い出せなくなった
  • ・しまい忘れや置き忘れが多くなった
  • ・何をする意欲も無くなってきた
  • ・物事を判断したり理解したりする力が衰えてきた
  • ・財布やクレジットカードなど、大切な物をよく失くすようになった
  • ・時間や場所の感覚が不確かになってきた
  • ・何度も同じことを言ったり、聞いたりする
  • ・慣れている場所なのに、道に迷った
  • ・薬の管理ができなくなった
  • ・以前好きだったことや、趣味に対する興味が薄れた
  • ・鍋を焦がしたり、水道を閉め忘れたりが目立つようになった
  • ・料理のレパートリーが極端に減り、同じ料理ばかり作るようになった
  • ・人柄が変わったように感じられる
  • ・財布を盗まれたと言って騒ぐことがある
  • ・映画やドラマの内容を理解できなくなった

●認知症の種類

認知症は一つの病気ではなく、いくつもの種類がありますが、認知症の60~70%はアルツハイマー型認知症で、約20%は脳血管型認知症と言われており、認知症の約9割をこの二大疾患が占めています。

アルツハイマー型認知症 アミロイドβ(ベータ)などの特殊なたんぱく質が脳に溜まり、神経細胞が壊れて減ってしまうために、神経が情報をうまく伝えられなくなり、機能異常を起こすと考えられています。また神経細胞が死んでしまうことによって脳という臓器そのものも萎縮していき、脳の指令を受けている身体機能も徐々に失われていきます。アルツハイマー型は、認知症のなかでも一番多いタイプです。女性のほうに多く見られます。
脳血管型認知症 脳梗塞や脳出血、くも膜下出血など、脳血管性の疾患によって、脳の血管が詰まったり出血したりして脳細胞に酸素が届かなくなり、神経細胞が死んでしまうことによって、認知症を発症します。

●認知症の治療

認知症を完全に治す治療法は、まだ存在しません。そのためでしょうか、認知症はどうせ治らない病気なのだから医療機関にかかっても意味が無いと語る方がいますが、これは誤った考えです。認知症についても早期発見・早期治療はとても重要です。
認知症の治療法には、薬物療法と非薬物療法があります。

アルツハイマー型認知症の薬物療法 アルツハイマー型認知症の薬物療法には、認知機能を増強して、中核症状(記憶障害や見当識障害(自分が置かれている状況がわからない)など脳の神経細胞が壊れることによって直接起こってくる症状)を少しでも改善し、病気の進行を遅らせる治療と、周辺症状(不安、焦り、怒り、興奮、妄想など)を抑える治療があります。薬の効果と副作用を定期的にチェックしながら、個々の症状に合わせて使用していきます。
脳血管型認知症の薬物療法 脳血管型認知症では、脳血管障害の再発によって悪化していくことが多いため、再発予防が重要となります。脳血管障害の危険因子である高血圧、糖尿病、心疾患などをきちんとコントロールするとともに、脳梗塞の再発を予防する薬剤が使われることが多いです。また、意欲・自発性の低下、興奮といった症状に対して脳循環・代謝改善薬が有効なケースもあります。抑うつ症状に対して、抗うつ剤が使われたりもします。
非薬物療法 薬物を使わずに脳を活性化し、残っている認知機能や生活能力を高める治療法です。
認知症と診断されても、本人にできることはたくさん残っています。まずは家庭内で本人の役割や出番をつくって(洗濯物をたたむ、食器を片づけるなど)、前向きに日常生活を送ってもらうことが大切です。

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